検証・アニソンCD&ハイレゾ海苔波形 #2 ~そして再び、海苔が立ち上がる。~
今回チェックするのは以下の楽曲。いずれも2016年発表。(CDの発売は2017年)
なおファイル形式はいずれも16bit/44.1kHzのWAVEファイル。
・ 『 Catch the Moment 』(LiSA) ・・・ 「 LiSA「Catch the Moment」【期間生産限定盤】 」 から
・ 『 リングアベル 』(LiSA) ・・・ 同上
・ 『 Catch the Moment(Instrumental) 』 ・・・ 同上
これらをAudacityで読み込み、以下の項目をチェックする。
・ 「 rms 」 プラグインによるRMS計測 ( 解析>Measure RMS )
・ 「 dpMeter 4 」 プラグインによるRMS/LUFS計測 ( エフェクト>dpMeter 4 )
・ クリッピングの有無 ( ある場合は赤線で表示 )
○ 『 Catch the Moment 』 ・・・ クリッピング検出なし
Measure RMS | |
---|---|
Left | -8.5209 dB |
Right | -8.31867 dB |
ステレオ | -8.41861 dB |
このCDもBlu-ray発売時に購入したものです。
楽器の音が強く、ボーカルも強く歌い上げる感じになっているので波形もパワフルな海苔波形。
LUFSで測ったダイナミックレンジ(Loudness Range)は驚きの2.9LU。RMSでもCrestは8.3dBです。
波形でも数字でもその音圧が見て取れるかと思います。
○ 『 リングアベル 』 ・・・ クリッピング検出なし
Measure RMS | |
---|---|
Left | -11.75 dB |
Right | -11.1723 dB |
ステレオ | -11.4515 dB |
楽器とテンポの影響からか波形はトゲトゲしており、ダイナミックレンジは(Catch the Momentと比べて)広め。
ただ、ほかの楽曲と比べると5.2LUや11.3dBといった数値はそう高いものでもありません。
アニソンではこれくらいの数値が一般的でしょう。
○ 『 Catch the Moment(Instrumental) 』 ・・・ クリッピング検出なし
Measure RMS | |
---|---|
Left | -9.02398 dB |
Right | -8.74934 dB |
ステレオ | -8.88449 dB |
ボーカルがない分だけダイナミックレンジが広くなっている。・・・ものの、それでもかなりの音圧。
それだけ楽器の演奏が激しいということでしょう。切れ間もほとんどありません。
■ボーカルだけ抜く
前回と同じく、Instで引き算してボーカルだけ抜いてみました。(Catch the Momentのみ)
なおWikipedia *2 によると、同CDでInstが収録されているのは初回限定版のみらしいので注意。
○ 『 Catch the Moment 』 (ボーカルのみ版)
Measure RMS | |
---|---|
Left | -13.4424 dB |
Right | -13.4087 dB |
ステレオ | -13.4255 dB |
波形からも分かる通り、この楽曲の海苔波形を作り出しているのは楽器の音の方であるようです。
■ハイレゾ検証
科学的可聴域 VS 超音波聞こえる説
個人的に、ハイレゾ音源についてアレルギーのようなものを持っていました。
というのはハイレゾ推進派の言い分にはどうも腑に落ちない部分*3 があったから、
そして欲しい楽曲に限って何故かハイレゾ音源がなかったりするから・・・という2点によります。
しかし、ネット情報によると楽曲によってはハイレゾ専用のマスタリングがされていたりするという。
先日購入したATH-WS1100ヘッドホンがちょうどハイレゾ対応(5~40kHz)ということもあり、
試しに 『 Catch the Moment 』 のトラック1を買ってみることにしました。550円。
では早速波形の方を見てみたいと思います。
○ 『 Catch the Moment 』 (ハイレゾ 96kHz/24bit) ・・・ クリッピング検出なし
RMS | |
---|---|
Left | -8.50713 dB |
Right | -8.30492 dB |
ステレオ | -8.40485 dB |
やっぱり海苔波形じゃないか・・・(CDと同じ)
拡大して見ると確かにCDよりは細かく波形が記録されているので、24bit/96kHzなのは確かなようですが・・・
まあリマスターとも書いてないしある意味順当な結果ではあります。(550円は投げ銭か)
なおスペクトルを調べると30kHzあたりまで山があるので超音波も出るようになっているようです。
どの道聞こえはしないので音量すら体感では測れませんが。
↑ 左 : ハイレゾ音源(96kHz/24bit)、右 : CD音源(44.1kHz/16bit)
なおAudacityの仕様により、ハイレゾ音源は前方109.2秒、CD音源は前方237.8秒のみが解析されています。
ここでふと思いつきました。
【ハイレゾ音源とCD音源を左もしくは右のチャンネルの片方ずつに振り分けて再生したらどうなるか?】
化粧品の宣伝みたいに半分だけハイレゾにしちゃうわけです。違いがあるなら分かるはずですよね?
( 上 : ハイレゾ音源 96kHz/24bit ) ( 下 : CD音源 44.1kHz/16bit )
ハイレゾの方が開始位置がやや前にあるようなのでCDに合わせて調整します。
96kHzなのでかなり面倒ですがキレイに合わせます。(キレイにあってないと立体音響風になります)
で、結果としては・・・何の違和感もなく聞くことができました。
つまるところ左右のどちらかだけ悪く聞こえもしなければ、どちらかだけ良く聞こえもしないわけです。
ハイレゾがイカんとは言いませんが、CD持ってる人がリマスターでもないハイレゾを買う意味はないかもしれません。
それにダウンロード販売のものは売却できませんし、歌詞カードも付いてこないので、
どうも同じ値段では割に合わないような気がします。あるいはCDと両方買えということでしょうか。
そしてe-onkyoは10回までしかダウンロードできないのでデータは大事に取っておきましょう。
CDと同じくコピー回数に上限はないので、ZIPなんかで保存しておくと安心です。*4
それと海苔波形論争についても疑問符が付きます。
たぶん激しい音楽であればCDでもそれ以外でも必然的にこれに近い波形になるはずです。
何かマスタリングした人が無能みたいな印象を持たれてしまうと申し訳ないので念のため書いておきます。
LiSAの声はキレイに入ってます。CDもハイレゾも。