UAP14475 のブログⅢ

Yahoo!ブログから引っ越してきました。パソコンとトイガンが大好物です。  暇になると艦これを始めてしまいます。とにかく秘書艦は阿武隈ちゃんで。

GIMP2.8で色収差&歪曲収差を補正しよう!

やっぱりGIMP、収差が載ってもだーいじょーぶ!


私はデジタル補正の威力を目の当たりにし、すっかりデジタル補正依存症患者と化してしまいました。
倍率、開放F値コントラスト・・・もうそんなことよりデジタル補正に対応してるかどうかしか見ていないような状態です。
その結果、買い込んでいたデジタル補正非対応のSIGMATAMRONのレンズが完全にお役御免に。



さすがにこれはもったいないと思い、今回GIMPでの収差補正を試みることになりました。
無料でできるので労力さえ惜しまなければどんなレンズでも補正できます。(めんどくさいけど・・・)



まず、色収差補正のために 「 Fix-CA 」 というプラグインを導入します。
  ・ 「 https://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/gimproject1/plug-ins/chromatic-aberration/index.html
  ・ 「 https://kcd.sourceforge.net/fix-ca.php



倍率色収差の補正には「Lateral」にある「Blue」と「Red」を操作して行います。
晴れた日に屋外で撮影した写真、特に影の輪郭がハッキリしているものを用いて調整するのが良いでしょう。
0.5変えるだけでかなり変化するのでプレビューをよく見ながら調整しましょう。

一番上にある「Preview」のチェックボックスをONにすると調整を小窓で確認できるようになりますが、
小窓の表示位置を変える場合は一時的にチェックボックスを外した方が移動しやすくなります。
すぐ下にある「Preview Saturation」は数値を大きくすると彩度が上がって色収差が見えやすくなります。
「Interpolation」は「None」「Linear」「Cubic」から選べますが、「Cubic」一択 で良いと思います。


歪曲収差はGIMP2.8に標準搭載されているフィルター 「 レンズ補正 」 を利用します。
プレビューが見づらいとか処理が重いとか細かいことは気にせず、気合を入れて補正しましょう。
収差が陣笠になっているとなかなかの苦行ですが、きっと答えは見つかるでしょう。
  ・ 「 https://docs.gimp.org/2.6/ja/plug-in-lens-distortion.html*1



歪曲収差は「中央部」と「周辺部」の2つを使って補正していきます。
いずれもマイナスにするとタル型を、プラスにすると糸巻型を補正する方向に画像が伸びます。
使い分けとしては・・・
  ・ 中央部 ・・・ 4辺の中心付近が歪んでいる場合に調整
  ・ 周辺部 ・・・ 4辺の末端付近だけが歪んでいる場合に調整

純粋なタル型・糸巻型の歪みであれば「中央部」のみの調整でも補正できると思いますが、
陣笠型に歪んでいる場合は「周辺部」も調整する必要があります。おそらく符号が逆になるようにすると補正できます。
なお、「中央部」と「周辺部」で符号が逆になるような数値を入力する場合は拡大・縮小処理を打ち消し合うため、
どちらか一方のみを入力する場合より数値が大きくなりやすいようです。


焦点距離別に歪曲収差はチャート図を、色収差補正は屋外で撮影した写真を使い、
独自に検証したところ、以下のように補正すると良い感じのようでした。

TAMRON SP AF17-50mm F/2.8 XR Di II VC LD Aspherical [IF] (B005E)
焦点距離Fix-CAレンズ補正
17mmBlue +0
Red -1.5
中央部 -16
周辺部 +4
24mmBlue +0
Red -1.5
中央部 -7
周辺部 +2
30mmBlue +0
Red -0.5
中央部 -3.5
周辺部 +1
35mmBlue +0
Red -0.5
中央部 -3
周辺部 +1
17mm必要なし中央部 -1
周辺部 +0


なお、歪曲収差補正は解像度と無関係で、色収差補正は解像度と比例関係にある模様です。
今回の検証ではEOS7Dで撮影した、解像度5184x3456pxの画像データをもとに補正しています。

上の数値のうち、17mmの歪曲収差補正を実際に適用すると以下のようになります。

オリジナル(17mm)歪曲収差を補正

「このレンズはまだまだ使えるよなぁ・・・」 と思っていたので補正ができるようになり大満足です。
開放F2.8の標準ズームレンズってやっぱり高いので・・・。Canon製なら 「 EF-S17-55mm F2.8 IS USM 」 が
ちょうど同じくらいの焦点距離と明るさを持ちますが、お値段は3倍くらいします。
( もちろんその分だけ写りは良いようですが・・・ )



■余談①

「レンズ補正」を適用すると自動的に画像の端の部分が切り落とされますが、
この処理を行う前にキャンバスサイズを大きくしておくと、切り落とされる部分の様子を見ることができます。
ただし、この場合は補正値が変化してしまうため補正値は再検証する必要があります。

手順は以下の通り。
  ① キャンバスサイズを縦横1.1倍に拡大する(5184x3456px⇒5702x3801px)
  ② 「Fix-CA」プラグイン色収差を補正する
  ③ 「レンズ補正」フィルターで歪曲収差を補正する
  ④ キャンバスの外側にできた余白部分を切り落として完成

以下は私が独自に調べた補正値。

焦点距離Fix-CA
色収差
レンズ補正
(歪曲収差)
17mmR -1.5
B +0
中央部 -22
周辺部 +9
24mmR -1.5
B +0
中央部 -9
周辺部 +3
30mmR -0.5
B +0
中央部 -4
周辺部 +1
35mmR -0.5
B +0
中央部 -3.5
周辺部 +1
50mm必要なし中央部 -1
周辺部 +0


実際に適用するとこうなります(17mm)↓


もともとは切り落とされる部分を減らすべくこの方法で補正しようと思ってたんですが、
手間のわりに効果が薄いので結局キャンバスサイズを変更しない方法を採用してしまいました。
でもせっかくなのでここに書き残そうと思ったわけです。



■余談②

実はデータベースを利用して自動補正してくれる超便利プラグイン 「 GimpLensFun 」 が存在します。
・・・が、私の手元の環境(GIMP2.8.18+Windows10)ではクラッシュして動作しませんでした。
結構な数のレンズに対応しているようなので、動作する環境があれば使ってみるのもアリかもしれません。

・ 「 https://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/gimproject1/plug-ins/gimplensfun/index.html*2
・ 「 http://seebk.github.io/GIMP-Lensfun/




*1:GIMP2.8では「メイン」ではなく「中央部」と日本語訳されている。

*2:配布しているバージョンが少し古いので作者のサイト(GitHub)からダウンロードしたほうが良い。あとアンインストーラーの場所は変わらないものの、ファイル名は環境によって異なるようなので注意。