軸上色収差 VS 倍率色収差
今回テストするレンズは 「 Tokina EMZ130AF 100-300mm F5.6-6.7 」 です。
先日手に入れたばかりの望遠ズームレンズ。今のところ望遠はコレしか持ってません。
下手すれば30年モノとかなりの骨董品なので写りのほどは非常に気になるところ。
このレンズは本来フルサイズでテストする予定でしたが、EOS5Dが急逝したためAPS-Cでのテストとなりました。
まあ望遠レンズはAPS-Cでも使う機会は多いと思うのでこれはこれで。
方法は以前の記事で書いた通り、月を画面中央と画面端(右上)で撮影するだけです。
・ 「 月面で色収差を測れる説 - UAP14475 のブログⅢ 」
100mmと135mmでは開放絞りとF8、200mmと300mmでは開放絞りとF11で測定しています。
これは200mmと30mmでは開放絞りでもF5.6より暗くなるためです。
シャッタースピードはなるべく露出が近くなるように設定しています。
AF性能の関係でピント合わせはマニュアルフォーカスで行いました。
なお、今回のテストにはPRO700DX三脚を使用しています。
シャッタースピードが少し不安なレベルになっていますが、おそらくブレの影響はありません。
結果は以下の通り。
中央1000x667pxをトリミング | 右上端1000x667pxをトリミング | ||
---|---|---|---|
100mm | F5.6 (開放) | ||
F8 | |||
135mm | F5.6 (開放) | ||
F8 | |||
200mm | F6.3 (開放) | ||
F11 | |||
300mm | F6.3 (開放) | ||
F11 |
EOS 7D、ISO400。自動ホワイトバランス。
F5.6・SS1/640、F6.3・SS1/500、F8・SS1/320、F11・SS1/160。
なお、200mmと300mmの開放F値がF6.7ではなくF6.3となっているのは、
F6.7が1/2ステップの場合の数値で、今回使用した機材は1/3ステップに設定されているためと思われます。
F6.3と表示されてはいますが、実際の値はF6.7である可能性があり、この場合露出がすこーしだけアンダーになります。*1
100mm右上 ・・・ 色収差はほとんど見られない ( 像面湾曲かコマ収差の影響でアレなことに・・・ )
135mm右上 ・・・ 色収差が少し見られる。
200mm右上 ・・・ 色収差が見られる。絞ると少し良くなる・・・ような気がする。
300mm右上 ・・・ 色収差が200mmより大きくなる。絞ると少し良くなる。
中央部分 ・・・ 特に300mmの開放絞りでは軸上色収差が目立つ。
このレンズには軸上色収差がだいぶ目立つようです。
軸上色収差は光の波長ごとの結像面のズレによって引き起こされるもので、
倍率色収差と違い、絞りを加えることで改善するという特性があります。
300mm・F6.7の一部(200x133px)を1000x667pxまでトリミング&拡大し、
RGBチャンネルごとに分離して横に並べたものが下の画像です↓
この画像を見ると、G<R<Bの順で輪郭のボケが大きくなっていることが分かります。
トリミングした部分は画面中央にかなり近い部分なので、ほぼ純粋な軸上色収差であると言えるでしょう。
このレンズは年代モノの割には比較的良く写っている印象です。
ある程度絞ることで本来の性能を発揮するというのも古いレンズとしては一般的な特性と思います。
が、このレンズの欠点は結局のところその暗さにあります。絞れば良くなるとはいえ開放でF6.7ですから、
十分な収差の低減や解像感の向上を求めるとF値が大きくなり、三脚が必須になります。
ところで、今回のテストでは月齢23ほどの下弦と新月の間の状態を撮影していますが、
正直もう少し月面が広く見える日に撮ったほうがよかったと反省しています・・・。
もう少し月の海やクレーターが見えていれば写り具合も確認できたんですが、欠けすぎてて無理でした。
もしかすると後日追加で実験するかもしれません。
■参考 : 300mm F11 オリジナルサイズ
EOS7D、TOKINA100-300mm、300mm、ISO400、F11、SS1/160。WBオート
300mm(35mm換算480mm)ともなるとだいぶ大きく写ります。
画面いっぱいに、とまではいきませんが、トリミングを併用すればなかなか悪くない感じです。
テレコンバーターを使えばもっと大きくなりますが、F値との戦いになることは避けられないでしょうね・・・。
*1:1/2ステップは2の4乗根(≒1.19)、1/3ステップは2の6乗根(≒1.12)の掛け算・割り算となる。その差は・・・わずかだ。