『KIOXIA EXCERIA SSD-CK240S/N』 ◇産地偽装SSD
偽ブランドではありません。あのキオクシア(KIOXIA)のSSDです。
■KIOXIA EXCERIA SSD-CK240S/N
・ 容量 : 240GB
・ NAND : 3D NAND、TLC(3bit MLC)
・ サイズ : 2.5inch(7mm厚)
・ 接続 : SATA
・ 製造 : 2020,12,01 タイ産
・ RMA :
Amazonにて、2021,04,12注文⇒2021,04,13発送⇒2021,04,14受取。
本体4,480円+送料無料。新品パッケージ品。
いろいろあってピンチに陥った東芝から切り離された半導体事業、それが現在のキオクシアです。
東芝製SSDはこれまで度々売り出されてきたように、キオクシアからもSSDが売り出されており、
今回購入したものは2.5inchSATAの最小容量モデルになります。
なお、販売元・サポート窓口はバッファロー社が担当しています。
SSD-CK240S/Nは 「 BiCS FLASH 」 なる 3D NAND を採用しており、記録はTLC(3bit MLC)となっています。
TLC採用SSDとしてよく見られるキャッシュ領域により、数GB程度までなら高速で書き込めます。
ただし、耐久性については公称60TBWとなっているためハードな用途では少し頼りないかもしれません。
よく見るとラベルにはEACマークがあります。東芝のHDD・DT02ABA600にもありました。
もしかするとロシア市場を狙っているのかもしれません。タイ産なのはASEANの優遇措置狙いかな?
このSSDは録画機として利用中の自作PCⅡに搭載予定です。
換装作業については録画データを抜いたうえ、録画のない時間帯に行う予定です。近日公開(?)
■産地偽装問題
このSSD、Amazonの商品ページには 「 国産BiCS FLASH搭載 」 と書かれており、
レビュー欄にも”国産SSD”として期待を寄せる声が散見されました。
↑ Amazonの商品ページ
「 いやまさか・・・ 」 と思いつつもやっぱり気になる部分だったので、動作確認後直ちに分解してみました。
分解はそう難しくはなく、ネジ留めはないのでマイナスドライバーで や さ し く こじれば開きます。*1
ツーピース構造のケーシングの中に、若干小ぶりな基板が鎮座しています。
ケーシングの材質は少し違うようですが、THNSN9120GESG とだいたい同じつくりになっているようです。
コントローラーの上のみにサーマルパッドが貼ってあるのもそっくり。
で、件の中身がコチラ↓
左上 : 基板表面(256Gbit×4)
右上 : 基板裏面(256Gbit×4)
左下 : コントローラー のアップ
NAND、コントローラーともに「TAIWAN」刻印。
基板とケーシングについては産地不明。
やっぱり台湾製じゃないか・・・(憤怒)
”国産BiCS”とは一体なんだったのか。
と、おどけてみせましたが、私も多少は我が国の半導体産業の現状を知っているので予想はついていました。
そもそも前身の東芝時代まで遡っても、SSDのNANDが日本製だったのは最初期型のみ、あるいは全くなしで、
HG4(THNSNSxxxGBSP)からはコントローラーまで台湾製でした。(といかアレはSandForce製のOEM)
一応、現在でも実験用やらで日本製NANDフラッシュは生き残っているとのウワサは聞きますが、
一般消費者向けの製品にそれらが採用されているというのは聞きません。
■S.M.A.R.T.情報
CrystalDiskInfoのバージョンによっては総書き込み量が表示できるようです。
また、専用ユーティリティも用意されているそうなので使ってみるのも手でしょう。
それにしても項目数が少ないような・・・
■ベンチマーク
・ 左 : ランダムデータでの計測
・ 右 : 0Fillデータでの計測
・ 計測機器 : Windows8、MSI・H81I、Intel・Pentium G3258、DDR3-1333/4GB
ランダムデータではちょっと物足りないような・・・
ゲーム等には使わないのでそれほど重視はしてませんが、速すぎて損なことはありません。
これ以上の速度が必要な場合はもう少し価格の高い製品やPCIe接続のものが良いでしょう。
ランダムデータでの計測に比べて0Fillデータでの計測が明らかに速いので、おそらく圧縮機能付きと思われます。
やっぱりPHISONでしょうかね? 東芝の出資先ですしDRAMレスコントローラーもラインナップされてますよね。
カタログスペックの最大転送速度は0Fill/1Fillデータでしか出ないようなのでそこは注意が必要です。
まあ正直安物なので・・・(悲) 高性能型はM.2モデルしかないんですよね・・・(涙)
なお、TLCなので書き込みキャッシュを使い切るとかなり書き込み速度が低下するものと思われます。
大きなデータを高速で書き込もうとすると問題になるでしょう。
・・・と、いうことで SSD-CK240S/N でした。
キオクシアの今後には期待したいところですが、産地偽装はちょっといただけないですね・・・。
それからラインナップされている製品の最大容量が960GBとちょっと少ないところも気になります。
QLCの最新モデルは8TBまで製品化されてる*2 ので、TLCでも2TBくらいは欲しいと思うんですよね。
将来的にはWS754/MのSSDを4TBくらいのに換装して、ビデオ保管庫にしちゃおうと思ってるんですが、
SSDの容量単価が現在10,000円/TBほどなのでちょっと財布に厳しいなぁ・・・と。
HDDなら2,500円/TBくらいで買えますが耐衝撃性と転送速度に難がありますし、7mm厚では2TBが最大です。
QLCでもいいので5,000円/TBくらいまで下がってほしいですね。
いっそ5bitや6bitのMLCが製品化されればいいのに・・・でもそうなると耐久性が課題になるか。
ところで価格.comにこの製品のページがないみたいなんですがどういうことなんでしょうかね・・・?
■画像保管庫(※予告なく変更する可能性があります)
https://f.hatena.ne.jp/UAP14475/SSD-CK240S%20N/
■撮影機材
・ Canon IXY DIGITAL 50
プレーナ型NAND(2D NAND)のころは本当に東芝が世界でナンバーワンだったと思う。
ところが3D NANDで世界が変わってしまった。東芝は商用化で出遅れてしまったのだ。
もし、東芝がプレーナ型と同じように3D NANDでも世界を席巻していたならどうなっていただろう?
東芝は、東芝メモリは、キオクシアは、さらには日本の半導体産業は、どんな道を辿っただろう?
しかし歴史に「もしも」はないという。残念なことに現実は最も悲惨な方向に向かいつつある。
実際、十数年前発売の THNS064GE4BNDC は本当に 「 MADE IN JAPAN 」 だったし、
HG2でもコントローラーは日本製だった。何よりキオクシアじゃなくて東芝だった。
そして現在、東芝は買収の提案まで持ち掛けられているという。 ⇒ 撤回された模様。
いっそのこと税金投入で救い出してもいいんじゃないかと思うが、おそらくもう遅いだろう。
その決断は半導体事業の売却を考えたときにするべきだったし、あるいはもうしただろう。
確かに市場原理からいえば反則技ではあるものの、私はやっぱり東芝が惜しい。
dynabookも半導体も、私たちの誇りではなかったか・・・。
■加筆 at 2021,04,24 17:30
以下の2点を加筆しました。
>> よく見るとラベルにはEACマークがあります。東芝のHDD・DT02ABA600 *3 にもありました。
>> もしかするとロシア市場を狙っているのかもしれません。タイ産なのはASEANの優遇措置狙いかな?
世の中には ”なんとか規制基準” とか ”なんとか認証” というものがたくさんあります。
また、WTOの機能停止もあってか域内での優遇関税を設けるグループもあります。
輸出を考慮する場合には無視できないものです。
貿易が自由であるというのは幻想です(絶望) *4
>> NAND、コントローラーともに「TAIWAN」刻印。
>> 基板とケーシングについては産地不明。
ラベルには 「 MADE IN THAILAND 」 とありますが、おそらくは組み立て工場のことでしょう。
基板とケーシングは中国製の可能性があると思いますが、刻印などは見つかりませんでした。