UAP14475 のブログⅢ

Yahoo!ブログから引っ越してきました。パソコンとトイガンが大好物です。  暇になると艦これを始めてしまいます。とにかく秘書艦は阿武隈ちゃんで。

エアガンの事件2000・熊本県西合志町老夫婦殺害事件

エアガンの事件を調べてみると、割と頻繁に起こっているように思えますが、
その大半は命に別状のない程度で収まるものです。

しかし、2000年の熊本県で、被害者の命を奪う事件が起こりました。
使用されたのは改造エアガン、強力な6mm金属球を射出、心臓を貫き射殺。
極めて威力の高い改造銃が用いられたことがうかがえます。

のちに犯人は別件で逮捕され、こちらの事件でも逮捕されます。
この事件は暴力団員らが間違えて押し入った先で起こした事件であったとのことです。

事件の起きた熊本県西合志町はその後に合併し、現在の熊本県合志市になりました。
2016年の熊本地震では震度6強を記録、全壊・半壊と一部破損を含め6,000棟近くの家屋が被害を受け、
市民の生活に大きな影響を及ぼした、とのことです。(合志市 | いまできること - 平成 28 年 熊本地震



■読売新聞、2000年9月2日

老夫婦殺傷 妻の心臓から金属球を熊本県警検出/熊本・西合志町

発射凶器は不明

熊本県西合志町御代志、菅満さん(82)方で、妻マツヨさん(73)が左胸や右わき腹などから出血し
うつぶせで死亡、隣室ベッドで菅さんが左腕などに軽傷を負った事件で、県警菊池署は一日午後、
殺人事件として捜査本部を設置、マツヨさんの遺体を熊本大医学部で解剖した。

その結果、刃物で刺されたのではなく、何らかの道具で発射された金属製の球(直径数ミリ)一個が
心臓から検出された。死因は「射創による心停止」で、死亡推定は一日午前四―五時と分かった。
菅さんの後頭部と左腕からも同じ球が計二個見つかったが、捜査本部は「短銃やライフルなどから
発射されたものではない」としており、球を詳しく鑑定するなどして発射に使った凶器を調べる。

一日午前五時ごろ、近くの会社員が、現場付近の町民図書館駐車場に白っぽい不審な乗用車が
エンジンをかけたまま停車していたのを目撃しており、関連を調べている。


※文章は適当なところで改行してあります



■読売新聞、2001年11月18日、朝刊

改造エアガン、まん延の危機 殺傷力あり、ネットで販売 部品も野放し

法改正の必要も

市販のエアガンを違法改造、所持していたとして、今月初め、群馬県太田市のがん具店経営者(55)が
武器等製造法と銃刀法違反の疑いで千葉地検書類送検された。経営者は、空気の代わりに
高圧の炭酸ガスを充てんし、殺傷力が認められるほどに強化した改造エアガンを客に売っていた。
改造用の部品も一般に出回っており、県警は、違法改造エアガンのまん延を警戒している。(向井ゆう子)

県警銃器対策課によると、経営者から押収した改造エアガンは、金属球を発射すると、
厚さ二ミリのベニヤ板九枚を貫通、至近距離ならば十分な殺傷力が認められた。

事実、昨年九月には、熊本県西合志町で、同様の改造エアガンを使った殺人事件が発生している。
暴力団員らが入る家を間違えて無関係の民家に侵入、老夫婦を殺傷した。
妻(当時七十三歳)の胸からは金属球が検出され、改造エアガンによる初の殺人事件として、
警察やエアガン業界関係者らに大きな衝撃を与えた。

エアガン製造の業界団体「日本遊戯銃協同組合」によると、組合が設定している一般向けエアガンの
威力基準は、新聞紙五、六枚を打ち抜く程度の〇・四ジュール以下。弾はBB弾と呼ばれる
プラスチック球を使用し、眼球などを除けば、体に直接当たってもけがをする恐れはない。
しかし、よりリアルな製品を求めるマニアの“本物志向”は根強く、冒頭のがん具店経営者の改造エアガンは、
改造前の数倍の約九万円で売れたという。

また、今月十四日、警視庁に銃刀法違反(営利目的短銃譲渡)の疑いで逮捕された男(27)が
インターネットオークションに出品していた改造エアガンは、値段が当初の約五倍の
八万円に跳ね上がるほどの人気ぶりで、業界内では、利幅の大きい金属製部品の
製造に乗り出すメーカーも出ている。

こうした現状から、経済産業省はエアガン改造用の金属製部品について、
「銃刀法などに抵触する恐れがある」と警告している。しかし、危険度の高い改造用部品に対する
実質的な規制はなく、この警告が違法改造エアガンの根絶にどれほど実効力があるかは疑問だ。

有識者の中には、「銃刀法には、違法基準となる明確な数値が盛り込まれておらず、グレーゾーンが大きい。
実効性を持たせるには、基準の数値化が必要だ」(ソフトエアガン安全会議代表委員・木村晋介弁護士)
との指摘もあり、本質的な問題解決には、警察庁なども含めた総合的な取り組みが不可欠と言えそうだ。


※文章は適当なところで改行してあります



この事件から6年後、銃刀法が改正され、威力上限が法律で定められることになります。
非常に強力な改造エアガンの全盛期もまた2006年まで続くこととなります。

かねてより、ハイパワーガン、いわゆる極悪銃の議論は専門雑誌などで繰り広げられてきましたが、
本格的なハイパワーガンが登場する前の議論(~90年代)は、主に箱だしでの威力に関するもので、
その後に広がる、個人やショップでの改造によるハイパワーガン、の議論はその後になります。

改造の容易なデジコン製品が登場し、デジコン社へ圧力をかけるも裁判で負け、
危険なカスタムが蔓延し、インターネットの普及はさらにハイパワーガンを身近なものにしました。
業界団体はこの危険な改造銃の蔓延を防ぐことができなかったのです。



エアガンの歴史を読み返せば、エアガンの威力には”流行”があるように感じます。
80年代はハイパワー、90年代は比較的ローパワー、00年代はかつてないハイパワー、
そして法規制からの3.5J/cm2規制。

この業界のハイパワーカスタムは法規制によって絶滅したようにも思えます。
しかし、かつて電動ガンやホップアップの登場で比較的安全であった時代のように、
それが永遠に続くように思えても、”いつの間にか”第三次ハイパワー時代に突入する危険はあります。
デジコン社もまた最初からハイパワーに狂っていたわけではないのですから。

もし、再び危険な改造が流行りそうになったとき、私たちに何ができるでしょうか。
どんな流行も、それに乗っかる人が、その流行を支えています。
業界団体の力が及ぶのは業界団体の中だけですから、
そこから先は、ひとりひとりの意識にかかっているのです。

もっとも、業界団体はいつでも威力規制に関する啓発を行っていて、
それが効かない人たちが事件を起こしているのですが・・・