タナカ・カシオペアシステム 資料発掘 ~あの日 あのとき あのトイガン~
あの日 あのとき あのトイガン
トイガン界の古文書・月刊GUNから、カシオペアに関する資料を発掘しました。
カシオペアは、タナカが世に送り出した蓄圧式カートリッジを使用するリボルバーシリーズです。
蓄圧式カートリッジを使用するガスガンはカシオペア以前にもいくつか存在し、
うち、コクサイM29、アサヒM40A1 の2つは実銃と認定されていました。
この不穏な雰囲気の中、2008年にカシオペアが発売されることとなりましたが、
後に実銃認定され、製品は回収、社長が逮捕される(のち釈放)という一大事に発展しました。
■月刊GUN 2008年8月号
この号で初めて登場したカシオペア。
カートリッジ・システム・オブ・ペガサス・システム、略してカシオペアだそうです。
「 パーツの動き自体はペガサスに近い 」 という記述から、
その名の通りペガサスを基にしたシステムだったようです。
このとき登場したのは試作段階のモノで、次号に登場するモノとは少し仕様が異なっています。
■月刊GUN 2008年9月号
量産品に限りなく近い試作品と記述されています。
シリンダー内部の部品が画像で掲載れています。
「 シリンダー外部は回転しても内部は回転しない 」 とあり、
この点からペガサスとの類似性を感じることができます。
グルーピングや初速もなかなか優秀なようで、
カート式とはいえ実用性も高いモデルであったことがうかがえます。
これはデジコンM92Fにもいえることですが、摘発されたり悪評の付いた製品でも、
まともに使うと意外とちゃんとしていることがあります。
デジコンM92Fはアームズマガジンで取り上げられたことがありますが、
初速・グルーピング・外観のどれも上出来であったと記載されています。
(ただし後発のWAのM92FSに抜かれます)
また、コクサイM29はモデルガンと、アサヒM40A1は固定スライドと、
そしてタナカM500はペガサスと、それぞれ動作が似ているようです。
M40A1のインナーバレルが動いて射撃する、というのは目新しく感じますが、
実際のところ固定スライドガスガンはどれもインナーが動くもので、
マルゼンのM92あたりを蓄圧カートにしたら結構近いんじゃないかと思います。
まあM40A1にはそれ以前に機関部が堅牢すぎるという問題があるのですが。
■月刊GUN 2008年10月号
こちらはカシオペアシリーズ第二弾のSAA.45です。
結果的にこれが最後のシリーズ製品となってしまいます。
ガスタンクがないからか、グリップ固定用のネジが長くなっています。
モデルガンを触ると分かりますが、SAAのこのネジは1本で両側のグリップを留めるのが正解です。
カシオペアシリーズならでは、なのでしょうか?
■月刊GUN 2008年12月号
M500カシオペアのカスタム記事です。
分解方法も載っており、なかなか興味深い内容になっています。
しかし、この時期はすでに回収寸前であり、実際にカスタムした人が、
あるいはカスタムを十分に楽しんだ人が、どのくらいいたのかは不明です。
■新聞の切り抜き(毎日新聞?)
上のGUN誌はどれもブックオフで買ったものなのですが、
ブックオフのチェックがずさんなのか、あるいは空気を読んだサービスなのか、
12月号にこの紙片が挟まっていました。
武内亮さんは毎日新聞で見つけることができるので、毎日新聞の一部である可能性があります。
( 参考 : http://db.me.cit.nihon-u.ac.jp/me/master/upload/get.php?id=4d18278e5e443b24789b99569c5203fb&name=20141112a.pdf )
この記事には、以下の記述があります。
「 ・・・薬莢の強度を上げ、ガスの代わりに火薬を詰めた場合、金属弾を発射することが可能になり・・・ 」
この書き方では、付属のカートリッジを改造すると実包になる、と取れます。
もちろん、資料はこの紙片ひとつですから確実にそうとは言い切れませんが。
Wikipediaなどのサイトでは以下のような点が批判されています。
① 科捜研が手作りした特殊な実包である
② 実際にそのような実包は販売されていない
③ 特殊な実包であれば鉄パイプででも撃てる
しかし、もし付属のカートリッジを改造して実包を製造できるなら、
”特殊な実包”とはいえベースは既に売られていて、すなわち①②をほぼ無効にできます。
また、この”特殊な実包”には”特殊な発射器”が必要になるわけですが、
それはカシオペア本体なわけなので、鉄パイプと違って既に完成品になっています。
これは完成品の真正銃と呼べるでしょう。そのうえセットになってるので余計に具合が悪いです。
また、記事中の 「 薬きょうの強度を上げ 」 の部分は解釈に幅があると思いますが、
一般的な薬莢も真鍮製ですから、ガスガン特有の部品である注入バルブを固めるとか、
樹脂を内部か外部に使って強度をアップさせるとか、そういうことのように取れます。
■ASGKの”言いようのない不安”
・ https://web.archive.org/web/20081205022813/http://www.asgk.jp:80/release/tanaka081031.html
・ https://web.archive.org/web/20081207002046/http://www.asgk.jp:80/release/tanaka081204.html
ASGKは発売前より”言いようのない不安”を抱えていたといいます。
しかし、今回もまたそれを防ぐことはできませんでした。
もちろん、それがASGKのせいだとは言えませんが、残念な結果に終わったことは事実です。
また、アームズマガジンがコクサイM29に触れた際にも、
”当時の人々は嫌な予感がしていた”との旨を記載しています。
後から振り返ってみれば・・・と人は思うものです。
なお、ASGKは毎号、月刊GUNに広報を出していますが、
2008年1~12月号にこれといった異常はなく、平常運転という感じでした。
事が動き出したのは警察の家宅捜索が行われた辺りからと考えられます。
■当時の新発売(月刊GUN 2008年12月号)
何の縁か、カートリッジ式のDualMaxiが発売になりました。
こちらは昔ながらの筒型カートリッジで、加えてチャンバーレス構造と分解不能な機関部を搭載しています。
不幸な最期を迎えたカシオペアとは違い、そこそこラインナップを広げたりと拡大します。
2018年はCz75が再販になったりと、10年近く経ってもちょこちょこ生産するようです。
このGLOCK21のカートリッジは正直あんまりリアルではありませんが、
同社のX-Cartridgeシリーズなど、機能面はともかく見た目はリアルなカートリッジが登場しています。
カシオペアのカートリッジは機能こそリアルですが、
改造対策を施した結果、見た目はリアルではなくなっています。
蓄圧式と聞くと、モデルガンばりのリアリティを期待しますが、そうはいかないのです。
(リアルになるとすればグリップの内部でしょうか)
蓄圧式カートリッジは摘発例が3つありますし、
果たしてそこまで蓄圧にこだわる意味があるのか、
2018年の私には残念ながら理解できない部分であります。
なお、広告に載ってるマテバは8月5日が発売日とされていました。
この日付は2006年に威力規制の説明会が開かれた日と同じかと思います。
まさかピッタリ合うとは・・・
また、この頃からマルシンは”maxi8”を使っていますが、
もともとM1ガーランドの8mmは”MAXI”であり、2006~2008年ごろに変更されたと思われます。
資料が少ないのでハッキリしませんが、もしや威力規制後に”maxi8”へ
ブランドを変更したのではないでしょうか。
そもそも、”MAXI”という名称もなかなか謎めいていて、
「 威力が高いから”MAXI”と付けた 」 という主張がある一方で、
”ギガMAXIウェイト”なるモデルガンが存在し、BB弾が撃てなくても”MAXI”になることが分かります。
私としては単純に 「 マルシン製品のマキシ 」 くらいの意味しかないのではないかと思うのですが、
こればかりは中の人にしか分からないので、永遠の謎になるかと思います。
小見出しの元ネタ : 『 あの日 あのとき あの番組 』 (NHK総合)
NHKアーカイブスのリネーム。ローンサム・レディ号の回が良かった。
今も昔もテレビはテレビですが、古い資料を再発見するのは良い事です。
不定期っぽいのでマメにチェックするか、キーワードで予約して見逃さないようにしましょう。
■加筆・修正 2018,03,30
・ 修正前 : この日付は威力規制の説明会が開かれた日と同じかと思います。
・ 修正後 : この日付は2006年に威力規制の説明会が開かれた日と同じかと思います。
2006年あたりの月刊GUNに説明会の記事が見受けられ、
なかなか良い資料となっているので、そのうち取り上げたいと思います。